優秀な技術や開発力があっても、ベンチャー企業は、それだけで企業が成長できる訳ではありません。
中小企業庁の調査によると、ベンチャー企業の起業時点での問題点として、事業資金(48.6%)、優秀な人材(31.6%)、販売チャネル開拓(24.7%)がトップ3で以下、事業に必要な専門家、経営ノウハウ、立地場所、仕入れ先などが続きます。
起業後、成長期における経営目標達成のための問題点としては、人材確保・活用(66.7%)、営業・販売強化(57.9%)が圧倒的に高くなっています。
ユーグレナは、実に高い可能性を秘めた原材料ですが、それだけで事業が順調に進むほど簡単ではありません。
ベンチャー企業が売上を伸ばして、成長を続けるためにもっとも重要な経営資源はなんでしょうか?
起業してから順調に製品が売れ始めたとしても、売れれば売れるだけ資金需要が増加し資金が足りなくなることが起こります。
小売業であれば、仕入れが多くなり、仕入れ費用、倉庫費用や運送費用が嵩むのに対して、売上代金が仕入れ費用よりも回収期間が長いと、売れれば売れるほど資金が足りなくなります。
製造業においても、売れれば増産のための工場建設などの投資資金が大きくなります。
このように、売れるだけでは資金は不足し、そのために止むを得ず販売ができなくなることもあり、もっとも重要な経営資源は「継続的な資金の調達能力」となります。
企業の成長に合わせて切れ目ない資金が用意できないと売れても黒字倒産の可能性があります。
ところが、日本においては、欧米に比べてベンチャー企業への投資額が圧倒的に少ないため、多くのベンチャー企業が成長のチャンスを失っています。
その証拠として、アメリカの経済紙フォーブスが発表する国別の上位200社(2007年)の中で、比較的新しい歴史を持つ企業(1970年以降創業)は、アメリカでは15社あるのに対して、日本には1社しかないことで分かります。
アメリカの15社には、アップルやグーグル、マイクロソフト、スターバックス、アマゾン、デルなど錚々たる大企業が含まれています。
伊藤忠は、付加価値の高い商品を探していた時、ユーグレナに出会い、直観的にユーグレナの持つ可能性を信じ、いろいろ調査した結果問題なしとして投資を決定することを決めます。
ここに、伊藤忠がもつ資金力、販売チャネルを活用できることとなり、ユーグレナを商品化したベンチャー企業は、資金面、販売チャネルでの弱点・問題点が解消されることになります。
現在、主に事業展開を行っている健康食品分野のユーグレナの市場規模は、2012年で100億円程度と見られていますが、伊藤忠は将来的に最大で2,000億円規模にしたいと考えています。
健康食品でこれだけですから、他分野を含めると1兆円まで行く可能性もあります。
ユーグレナの大量培養は、このベンチャー企業しか成功していないので前途は、洋々たるものがあります。